フレイル・
サルコペニア予防

フレイル(虚弱)とは

健康な状態と要介護状態の中間的段階(図1)であり、加齢に伴う予備能力低下のため、さまざまなストレス(病気や身体機能障害など)に対する回復力が落ちてしまった状態のことを表します。

(図1)健康な状態と要介護状態の中間的段階

(図1)健康な状態と要介護状態の中間的段階

フレイルと診断された方は、何もしないと2年後には健常な人より5倍も要介護状態になりやすい、という報告もあります。また、フレイル高齢者は健康な高齢者と比較し1.9倍肺炎にかかりやすく、1.8倍重症化しやすいといわれています。

フレイルの分類

(図2)フレイルの3つの分類とフレイルの悪循環(フレイルサイクル)

  • 身体的フレイル
  • 社会的フレイル
  • 精神的心理的 フレイル
身体的フレイル 社会的フレイル 精神的心理的 フレイル

サルコペニアとは

身体機能の低下(フレイル)の中でも特に筋力や筋量が低下してしまうのが「サルコペニア」です。

サルコペニアになると歩行が不安定になり、転倒したり骨折しやすくなります。さらに運動不足・不活発になり、それが原因で食欲を失い、食事量の低下→体重減少となり、ますます筋肉の量が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。(図2)
サルコペニアは食べ物を嚙んだり、飲み込むときに必要な筋肉にも影響を及ぼすため、食べ物が飲み込みにくくなったり、むせやすくなったりもします。重症化する前の予防が重要です。

フレイル・サルコペニア予防に大切なこと

フレイル・サルコペニア予防には、食事と運動の両面から予防を行うことが必要であり、継続することが重要です。

当施設では、フレイル・サルコペニアに効果的な予防方法をお一人おひとりの健康状態などに合わせて、総合的に判断しご提案いたします。

栄養(たんぱく質)

栄養(たんぱく質)

運動(筋トレ)

運動(筋トレ)

サルコペニアの
最も効果的な対策

サルコペニアの予防には、何といっても筋力トレーニングが重要です。

筋肉量、筋力の低下を防ぐために、筋力トレーニングは必要不可欠といえます。
サルコペニアからの脱却、予防に必要な運動は、身体がぽかぽかして軽く汗ばむ程度のゆるい運動です。
その運動量で十分効果が期待できます。

息が弾む、動悸がする、筋肉痛が残るような激しい運動は関節や心臓に負担をかけてしまい、高齢者にはむしろ逆効果です。
「身体をほぐすくらいでちょうど良い」と覚えておいてください。運動の効果が出るまで、一般的には4週間と言われております。1ヶ月を1サイクルとお考えください。
1ヶ月後、体力チェックを実施して、自覚的な変化の他、体重や血圧、筋力など気になる数値を運動の計画と一緒に記録しておくと良いでしょう。

  • 筋肉への刺激となる運動も必要です。筋肉は伸びたり縮んだりする刺激によって筋たんぱく質の合成が増加します。運動をしないと、刺激が得られなくなって筋たんぱく質の合成が減少し、筋肉がやせ細ります。
  • 栄養と運動が兼ね備わるとさらに強い刺激となって筋肉が太く丈夫になります。
  • 運動はウォーキングなどの有酸素運動も良いのですが、それより筋肉に少し負荷がかかるレジスタンス運動(筋トレ)が効果的です。
  • 運動後にもたんぱく質を摂ることも筋肉づくりに効果的です。
    筋肉の合成は運動後1~2時間に最も盛んです。運動後に牛乳やチーズを摂るなどするとよいでしょう。